2020/07/05 06:56
東京は板橋にある料理店の手伝いをしていたことがあります。
僕のコーヒー焙煎士としての活動のスタートとなった場所です。
その店は完全予約制 一見さんお断りという形式で
やや格式ばった高級魚料理専門の店でした。
そこには、大手有名企業の社長や役員などが集まり、隠れ家的に楽しまれていた店です。
そこの料理長である人間に、"コーヒーをやれるなら、ぜひうちのお客様たちのために用意してもらえないか?"という打診をもらったのが、僕がプロとして"自家焙煎豆"の販売を始めるきっかけでした。
正直に言いまして
焙煎に関して、独学です。
一人で、トライアンドエラーを繰り返しながら、あるいは色んなお店を訪れそこのスタッフの方とお話しすることによって、知見を深めていっています。
ですので、販売する、ということには、少なからず抵抗はありました。
まずは、料理長に試飲をしてもらい、さらに古参御常連の方たちに試飲をしてもらいました。
それをみなさん"絶賛"してくれました。
既に書いたように、ノルウェーやイギリス、イタリア、メキシコなどの駐在を歴任するなど、社会のトップクラス、ビジネスの第一線を張って来られた方たちですので、一流有名店での食事には慣れ、美味しいものには慣れている方たちです。その方たちに、あのように褒めて頂いたことは僕にとって自信になり、深めていきたいという想いをもつキッカケになりました。
ただ、とはいえ、派手なことはできません。アクロバティックを狙ったところで、大けがするのは目に見えています。
そこで、当時から今もずっと、心がけていることがあります。
"基礎、基本を大事にするということ"
焙煎にとっての基礎、基本とは、素材であるコーヒー生豆を高品質のものにする。その生豆から、欠点豆と言われる良くない豆を徹底的に排除すること、そして、煎りたて、挽きたて、淹れたてを提供することだと、僕は考えています。
その中でもハンドピッキングと言われる作業に心中を注いでいます。
ハンドピッキングとは、
虫食い豆、カビ豆、割れ豆、発酵豆、枯れ豆といういわゆる「欠点豆」を、一粒ずつ目で見て確認して取り除いていく作業です。
この写真に写っているのが、その欠点豆たちです。
バンドピッキングしてこれを取り除くか否かで、焼きあがった豆の美味しさは、雲泥の差がでます。
興味本位でこの欠点豆だけを焙煎したことがあります。
とても飲めたものではありません。
焦げ臭く、カビの生えたじゃがいものような異臭がします。
これらが混ざったまま焙煎を行えば、美味しくないのは火を見るよりも明らかですね。
「欠点豆は一粒たりとも侮れないんですよ」と多大な影響力を持っているコーヒーバイヤーの方も言ってました。中には”少しくらい入るのは仕方ない”と考えるコーヒー屋さんもいるようです。でも、僕は、一粒たりとも残さないという心意気で「ハンドピッキング」を実践しています。
このように、ハンドピッキングを丁寧に行い欠点豆を取り除き、豆に見合った焙煎を行い、焙煎したてを提供する。
これが、僕が、当店のコーヒー豆の販売に関して、ココロがけていることです。めちゃくちゃ地味ですね。派手なことはないです。
でも、これを徹底することで、これまで毎月のようにリピートで買ってくださるご常連さまたちの存在がいてくださるのだと思っています。
地道に、愚直に、コツコツと、やっています。
僕自身も、美味しいコーヒーを飲みたいので、やはり手は抜けません!
今日も地道に黙々と、がんばっています!!