2020/07/03 06:47

masuocafe 店主 ますおか ゆうすけです。

僕がまず最初に焙煎を始めたきっかけについて、お話したいと思います。
それは、まず自分自身が美味しいコーヒーを飲みたいという願望でした。

毎朝4時過ぎに、僕の1日は始まります。
まだ多くの人が寝静り、鳥の鳴き声さえも聞こえず太陽も姿を見せる前の夜が深まる時間帯です。

そんな時間に僕は目を覚まし、ベッドルームから階下におりて電気ケトルにスイッチを入れお湯を沸かします。

その間に、その日の気分で豆を選んでグラインダーにかけて粉砕。その瞬間にパァっとキッチンにコーヒーの良い香りが広がります。
ドリッパーにセットした粉となったコーヒーにお湯を注ぐと、さらに香りが濃厚にキッチンに漂います。

夜明け前の、まだ世界が起き始めるその時間帯に一人でそんな時間を堪能していると
僕にとって1日のうちで最高に幸せを感じることができることに気がつきました。

電話、メールの着信音も鳴ることもなく、家人もまだベッドルームで静かな寝息を立てています。

誰にも邪魔されない
満たされた「一人の時間」がそこにありました。

僕は、マグカップにドリップしたばかりのコーヒーを注ぎ、ベランダに出ます。

季節によっては、空の一番下のラインには、少し明るみが見え始め、そこからパープルからブラックへのグラデーションの美しい空を眺めることができます。マグカップからの白い湯気と、僕の白い息が、そこに映えます。

その時間、僕は自分に対しても、世界に対しても、感じのいい人になれる気がしました。

その時間を大事にし始めた当初、僕は会社員でした。
毎日、窮屈なスーツに身を固め、満員電車に揺られ、終電間際の電車で帰路につく。
日々の生活がモノトーンに見えていました。

でも、仕事のために起き、仕事のために寝て、という生活を続けていると
まるで奴隷のようだな・・・と感じるようになりました。

どうにかして、自分で選択した時間を取りたい。
主体的で能動的な「自分時間」を取りたいと思うようになりました。

そこから「コーヒー」にもこだわるようになりました。

美味しいコーヒーがあれば、それが飲みたくて、、いえ、
それを淹れる時間を楽しみたくて、自然にベットから出たくなるのです。
きっと人は「心地よい方向」に向かう生き物なのだと思います。
外の世界と、ベッドの中を比べた時、
自分の体温で暖かくなった毛布の心地よさが、外の世界より勝れば
きっと僕もベッドでの時間を楽しむでしょう。

でも、その時間よりも、さっさと起き出して、
キッチンで、ゆっくり、じっくり、ていねいに、
コーヒーを淹れて、それを楽しむ時間の方が何百倍も心地よかったんです。

それから、僕の人生は一転しました。
人生は僕次第だと感じるようになりました。

おおげさかもしれないけど、モノトーンに見えていた世界はどこかに消えてなくなりました。
コーヒーに携わりはじめて、人生はどんどん良くなり充実しています。

そんな大事なコーヒー、コーヒーを楽しむ時間だからこそ
もっともっと大事にしたいと感じるようになり、まさかの「焙煎」にまで手を出すことになったのです。

この続きは、また今度。

ぜひ「コーヒーを楽しむ時間」を共有していただけたら
コーヒー好きの一人として、とてもうれしいです。